Willie Dixon - I Am The Blues

I Am the Blues  レッド・ツェッペリンにハマっていると当然の事ながらそれぞれの楽曲のクレジットを楽しんだり、元ネタ探しをしたりと色々と深みにハマる土壌はあるのだが、その中でも結構不思議だったのはウィリー・ディクソンというブルースメンの楽曲として語られる「I Can't Quit You, Babe」「You Shook Me」とベン・E・キングのものと云われている「We're Gonna Groove」だ。もちろん「Lemon Song」なんてのも摩訶不思議な曲ではあったんだけどある程度解決策があったのでこれはヨシとして(笑)、いや、ハウリン・ウルフのトコで出てますので…。で、ベン・E・キングのものと云われているだけで実は全然関係のない「We're Gonna Groove」ってのはまあそういうもんだとほっといて、ウィリー・ディクソンという作曲家に目が向いたワケだ。

 通常クレジットを見れば大体その原曲をプレイしているミュージシャンが書かれていたりするのでそうやって元ネタ探しをしていたのだが、ウィリー・ディクソンという人は基本的ないわゆるブルースプレイヤーではなく作曲家、アレンジャー、時にベーシストといった裏方よりの人だったのでどうしても原曲探しに行くと異なるブルースメンにしか出会わない。「I Can't Quit You, Babe」であればオーティス・ラッシュの名盤になっているし、「You Shook Me」はマディもあるけどアール・フッカーってな具合。なるほどね、ってことで1970年に突然自身が作曲した有名な(後に有名になる)作品をアルバム一枚に収めてリリースした「I Am The Blues」っていう自信の表れとしか思えないタイトルのアルバムを出す。こいつがまた凄くて、もちろん60年代のロックミュージシャン達がこぞってカバーしたような曲や、それこそこの後に皆がカバーするような曲を(もしかしたらこれをカバーしてみな、かっこいいぜ、ってな意味かもしれないが)収めたナイスな作品。嬉しいねぇ、こういうリリースは。アレンジやブルース的なセンスっつうか深さってのは会えてあまり出していないのか、結構サラリと聴けるサウンドになってるのも聴きやすいかもしれないね。何てったってシカゴブルース界の超大物裏方さんだからそれくらいの読みでアルバム出すくらい余裕でしょ(笑)。

 マディやハウリンの裏方さんと云えども実に色々とメジャーな曲を作っているのには驚く。ブルースってのはどちらかと云うとプレイヤーの個性が浮き出てくる面が大きく、楽曲そのものは二の次と云った感があったんだが、この人の作品は見事にそれを裏切っており、やはり楽曲なのだと云わんばかりに披露している。「Back Door Man」と言えばドアーズ、「I Can't Quit You Baby」はもちろんオーティス・ラッシュ…ウィリー・ディクソンはコブラとも仕事をしていたってことなんだろうな。それからもちろんZepのカバー(パクリ?)が有名、あとはリトル・ミルトンかな。「Spooonful」は云わずと知れたハウリン・ウルフ、そしてクリーム、クラプトンだね。「I Ain't Superstitious」はベックがファーストでやってたね。「You Shook Me」ももちろんZepだけど、これはアイディアレベルからマディと一緒に創り上げて、その後アール・フッカーがフレーズだけパクっていってっていう経緯もあるようだ。

 で、「I'm A Hoochie Coochie Man」はハウリンのヒット曲、そしてストーンズのカバーが有名、同じく「The Red Rooster」もハウリン・ウルフとストーンズ、ちとマニアックにクラプトンってとこか。マディの出世作「I Just Want To Make Love To You」もディクソンの作品。う〜む、やはり凄い経歴だ。こんな感じでチェスレーベルに多大な貢献をしたディクソンはやっぱりロックに近い系譜を持っている人で楽しめるね。そんな経歴を一気に纏め上げたボックスセットもあるので気合い入れて聴くのも良いかも(笑)。

Jimmy Rogers - Chicago Bound

Chicago Bound  シカゴブルースの名門レーベルと云えばすぐに思い出すのがチェスレーベル。実に数多くのブルースメンを育て上げそして巣立っていったが、中でもチェスと最も密接なイメージをもつブルースメンとして思い出すのがジミー・ロジャース。多分、最もシカゴブルースらしいサウンドを出していたのが彼だからなのかもしれない。  例えば誰かにブルースってどういう音楽をイメージする?って訊いてみると大体の人がイメージするのが多分ジミー・ロジャースの演奏するブルースなんじゃないかな。それくらいモダンでブルースらしいサウンドを奏でていて、それでいて全く堅苦しくなく疲れるものでもない自然な音楽なんだな。多分その辺は彼の人柄なんだと勝手に想像しているんだけど、それが故に集まってくるメンバーも結構豪勢なものでおかげでリラックスしたチェスレコードの集大成とも言えるセッション的アルバムが出来上がったのだ。

 「Chicago Bound」

 ま、1950年から1956年頃の彼の作品をまとめたベスト盤なんだけどコレをひたすら聴いていたので他の作品をまともに聴いてない(笑)。この人、結構古い人でして…、1945年にはマディの脇で既にギターを弾いていたんだよね。んで、どっちもうだつがあがらなかったんだけど、この頃のこの辺のプレイヤーは皆ジャズメンみたいに誰かが音頭を取ったアルバムに集まる、みたいな雰囲気があって、特にチェスには顕著だったみたいで多分イメージ的にはブルーノートを目指していたのかもしれないな。それで色々と人脈ができていたんだけど、1950年頃になってマディの録音の後にそのままジャムったりしたのかな、というような感じの雰囲気が出ているんだけど、実に良いね。何と云っても裏ジャケを見れば一目瞭然で、マディはいるわリトル・ウォルターはいるわオーティス・スパンはいるわで、どうりで初っ端からハープが強烈だったりピアノがエラク良い雰囲気出していたりするわけだ。ギターそのものは結構シンプルなギターサウンドで派手さはないんだけど味があるっていうのかな、渋いよね。

 ロック畑ではあまり取り上げられることがなかったので、多分イギリスでの知名度がイマイチだったのかもしれないんだけど、それでも1999年には超スペシャルゲスト陣に固められた作品「Blues Blues Blues」をリリースする。こいつもロックファンならば絶対に聴いておかなければいけないでしょ。何てったってメンツが凄い。 ジミー・ペイジ、ロバート・プラント、ミック・ジャガー、キース・リチャーズ、クラプトン、タジ・マハール、ジェフ・ヒーリー、ローウェル・フルソン、スティーヴン・スティルスで、しかも最後の「Boom Boom」ではペイジ、クラプトンとジミー・ロジャースをバックにプラントがあの声でブルースを歌うというあり得ない姿に感動するよ、ホント。ミックやキースなんかの演奏でも一緒でなんか聴き慣れた声やギターが鳴るんだけど、それがやっぱりホンモノと一緒にやっちゃうとエラク可愛く聞こえちゃうんだよね。でも最後の最後まで息を抜けないとんでもないセッションアルバムでだからさ、これもジミー・ロジャースの人柄のおかげ、かな。

Elmore James - Dust My Bloom

Dust My Broom  スライド三連ギターの代名詞ともなっているエルモア・ジェイムスの超有名曲「Dust My Bloom」だが、もちろん彼には他にも多数同じようなスライド三連ギターをメインとした曲を録音…いや、「吹き込み」をしており、今日のCDで入手できるソングリストにはあらかた同じようなものが収録されているので容易に聴くことができる。

 インターネットというものは実に便利な情報収集手段だ。ちょっとググって「エルモア・ジェイムス」と入れるだけで多種多様の人が彼について判明していることをアップしてくれているので、今までではあちこちの文献を再度探してフムフム、なんて言いながらつい目的を忘れて読み耽ってしまうことが多かったのだが、目的に対して素直に検索ができるのは良いね。で、彼の生い立ちなんかはかなり明確にされているみたいなのでそういうのを見る方が良いんだろうなぁ、詳しいし。ざっと見ると、20歳くらい年上のサニー・ボーイ・ウィリアムスンにくっついてあちこちの酒場をふらついてギターを弾いていたようだ。サニー・ボーイはブルースハープなのでこのような若者は適当に使えたことだろう(笑)。そしてある日、流れ者のロバート・ジョンソンというとんでもない女たらしが街にやってきて酒場でギターを弾いていたということで、見た瞬間から今度は彼にくっついて回ったという。そこで「Dust My Bloom」を伝授されたということらしいが、ついでに女癖と酒癖の悪さも教わったようだ(笑)。

 今ではロック界の人間、クラプトンやレイ・ヴォーン、ちょっと前ではジェレミー・スペンサーやブライアン・ジョーンズなどがこぞってエルモア・ジェイムスの曲やらギターやらをコピーしていて我々のようなロック畑のリスナーにもその素晴らしさを伝導してくれたが、こうして元ネタCDを聴くと最初は「ちゃちぃな、全部同じ曲だし」と思ったもんだが、聴いていくウチにとんでもないことに気づき始めるのだ。単純に、この時代、ディストーションなんていう歪み系のエフェクターなんてもちろんないワケで、っつうことはエレキそのものですら怪しいワケで、ってことは何?アコギ、生ギターでこんな音出してるワケ??「え?」ってなもんで、しかも「吹き込み」なワケだからもちろん歌もギターも全部一発録音で、ま、普段から酒場でやってることって言えばそのままなんで本人達からは大したことないんだろうけど、それで、これかよ?歌だって滅茶苦茶ナマナマしくって魂吹き出てるぜよ…。「Dust My Bloom」や「The Sky Is Crying」がメジャーになってるけど、結構まだまだロックミュージシャンがパクれそうな曲いっぱいあるんだよな。ところどころのフレーズはジミー・ペイジも結構パクってるなぁ…(笑)。

 で、正直言ってオリジナルアルバムというものが存在しているのかどうかわからんけど、結構ベスト盤がいっぱい出ている…っつうかそれしかないんだけど、どれもこれも寄せ集めでしっかりと収録されているので安いのから手に入れれば良いんじゃないかな。ちょっとアマゾン見た限りでは「Blues After Hours」ってのが酒場の黒人女性をジャケットに持ってきていて、なかなか良い。選曲的には初期に偏ってるけどね。ま、万遍なくって感じなら「The History of Elmore Jame」とか「Rollin' & Tumblin'」ってのが良いかな…。

John Lee Hooker - King Of The Boogie

The Very Best of John Lee Hooker  しかし世間てのはこうもヒマなのかと思うくらいすることがなくなることがある。個人だけであればヒマするってことはまずないんだけど、世の中的にヒマになるとこれは困ったことになる。故に暑いからビールに走ることとなって結局いつも通りの日常。夏休み〜と思いつつも、結局遊び歩くのが面白いのでなかなかくつろぐなんて事ができにくいのだ。が、やはり疲れている日々が増えてきているので、ゆっくりしたいなぁ〜と。それはそうと、やっぱり夏こそロックだろう、とはどこかの人の弁でして、はい、深く頷くワケで決して涼しくなるために音楽を聴くのではなく、より一層燃えるためにロックだ〜!と。うん。そこで、更に深堀して暑苦しいくらいの音、でもないけど心地良い音がブルース。うん、ブルース、気持ち良いよ。

 「The Very Best of John Lee Hooker」。キング・オブ・ザ・ブギと異名を取ったジョン・リー・フッカー。まだここで取り上げたことなかったんだ、と我ながら過去ログ見て不思議に思った。この人結構まっとうな人生生きたみたいで2001年に83歳の老齢で亡くなっているんだけど、そこまで生きながらえていたブルースメンってのも珍しい。昔から伝説にもなっていたので21世紀にもなって亡くなったというニュースを聞いた時にはまだ生きてたのか、と思ったくらい。まだそういう生ける伝説って他にもいるんだろうな。

 さてさて、この人のブルースは、正にブギなワケです。っつっても想像すするようなブギー調のブギではなくって、なんつうのか心地良くカラダが揺れてしまうブギっつうか…、それをギター一本で醸し出してしまっているというかね。ギターソロとかアコギのプレイで聴かせるってんでもなくって歌とノリでノックアウトさせるっつう感じかね。有名な曲には「Boom Boom」とかあるけど、ツェッペリンマニアならば「Boogie Chillun」を知っているかもしれない。「胸いっぱいの愛を」のライブのメドレーでカバーされてるからさ。もっとも全然違う曲なんだが(笑)。

 っと、オリジナルアルバムは凄くたくさん出ていて、近年に至るまで多用なミュージシャンと一緒にアルバム作ったりしてたからそれこそ数限りなくあるみたいだけど、やっぱり初期のベスト盤あたりで満足出来る部分は大きいね。自分もそんなのが数枚ある感じで、大体この人のパターンが読めてきた〜って感じだし。ブルースメンのアルバムってオリジナルのアルバム探すのってほとんど至難の業だしさ、こういう編集CDに頼らざるを得ないんだよね。

Jimmy Reed - Live At Carnegie Hall

アット・カーネギー・ホール(紙ジャケット仕様)  暑苦しいブルースを立て続けに聴いて、益々暑苦しく楽しむというほぼ自虐的な生活をしているが、あと少しで夏も終わるのだと言い聞かせて…。いやぁ、それにしてもブルーというカテゴリは実に幅が広い。多様化した現代ならともかく、40年代から60年代にかけてのブルースというジャンルでも各々が実に個性的な音楽を作っていて、今更ながらその幅の広さに驚くワケさ。戦前ブルースあたりはどれもこれも同じようなサウンドっつう感じはあったけど戦後ブルースからは凄く発展している。エレキの浸透もあるしレコーディング技術や器材の進歩ってのも大きいんだろうけど、そもそもの音楽性が広い。そんな中でもマイペースで伸びやかにゆったりとしたブルースを聴かせてくれるのがジミー・リード。

 1961年の「アット・カーネギー・ホール」っつう作品。ライブアルバムっつっても実は面白くて人を入れないでカーネギーホールでライブを行って一発録音したという代物。別にカーネギーホールでやんなくても、と思うけど、やっぱりその辺はステータスかね。カーネギーホールっつったらやっぱり名所だから、そこでのライブ盤つったらそれだけで箔が付くってもんだ。んなことで無人のカーネギーホールライブ盤。まぁ、それでも。この人のブルースっつうのは全く問題なくって…、なぜならジミー・リードのブルースっつうのは日本で言うと憂歌団みたいなもんで、一般にはホームタウンブルースと呼ばれている。要するにまったりとしたラグタイムのようなジャイブのような、そんな癒し系なサウンドばかりを立て続けにやってくれるからだ。故にライブによる熱さってのとは割と無縁で、如何にゆっくりとくつろげる状態を創り出すか、みたいなとこあるし。だから白熱したギターソロが云々とかってのではない。まぁ、珍しいブルースだよね。50年代から60年代にかけて活躍した人なんだけど、結構ヒット曲も持っていたらしく、割とメジャー。ま、あまり知らないけど何かのベスト編集盤とかでは名前を見かけることがあるかもしれない。

 んで、この「アット・カーネギー・ホール」っつうアルバムもそんなジミー・リードお得意のサウンドがたっぷりと詰め込まれているので暑い夏を少しだけ心地良いものにしてくれるね。BGM的に聴いてしまうけど、ジャケットのセンスとか音の雰囲気とかよくできているので割とオススメかも。バンド形式でバランス取れてるしね。うん、いいよ、こういうの。

 そういえば、この人の50年代のアルバムではどういうわけかあのアルバート・キングがドラマーとしてクレジットされていて、喰うためなら何でもやったよ、というアルバート・キングのセリフを裏付けているものだ…。

Otis Rush - I Can't Quit You, Baby

アイ・キャント・クィット・ユー・ベイビー~コンプリート・コブラ・セッションズ1956/58  シカゴブルースの中核を担ったオーティス・ラッシュこそがウィリー・ディクソンの起死回生を果たすプレイヤーであったことは割と有名な話だが、1950年代中期にはまだまだ新興レーベルだったコブラの気合いの入ったバックアップ体制と共にディクソンも気合いを入れてプッシュしまくったブルースプレイヤーなのだ。生まれは1934年ということなので先のバディ・ガイなどと同じ世代のブルースメンなのだがイメージ的には結構古い人という印象があるのはやはり50年代から活躍してきたイメージがあるからだろう。

 そのコブラレーベル時代の作品はシングルバージョンやその別バージョンも含めて「I Can't Quit You Baby」というCDに全てがまとめて収録してあるので大変有意義なパッケージで手に入れることが出来るのがお得♪手を変え品を変え、いくつものジャケットでリリースされているのでどれも入手して見るべし。何というのかな、ギタープレイそのものもえらく現代的だったりするんだけど、エコーの音やバック全体のサウンドなどかなり凝った音をしているのも特徴的で、まあ、時代的にロカビリーが流行した時期でもあるのでその音に近いと言えば近いのかな。それにしてもこの人は歌が良いね。ブラスなんかもしっかりと入っていて最初からゴージャスなプレイヤーなんだ〜っていう出方も実にモダンでシカゴ的かもしれん。

 しかしこの人の真髄はこの50年代の録音に限ったことではなく、もう一枚、いやもう半枚と云うべきか、チェスに素晴らしい録音を残しているので、こいつを忘れてはいけないのだ。そもそも初めてオーティス・ラッシュというギタープレイヤーを聴いたのは「Door To Door」というアルバート・キングとのカップリングによるアルバムなのだ。残念ながら一緒に収録されてはいるが、共演しているわけではないので、いわゆるB面がオーティス・ラッシュでA面はアルバート・キングなのだが、どう聴いてもB面の方がかっこよい(笑)。「All Your Love」ってのはもちろんクラプトンがジョンメイオールのアルバムでプレイしている、どころか今でもプレイしているアレだ。心地良いエコーと共にこのアルバム「Door to Door」に収録されているバージョンも素晴らしい出来映え♪そして極めつけは「So Many Roads」だろうなぁ。魂をはき出すかのような歌声ももちろんながら、エモーショナル感たっぷりのオブリギターについてはもう全てのブルースギタリストがコピーしたくなるフレーズの連発で、ソロに入る部分までもが実にかっこよくって、もちろんソロもエグい一発って感じで気合い満点の最高のプレイ。こんなの聴いてたら誰でもギター弾きたくなるわな、って思うよ。結構不器用なギター弾くんだな…。

Earl Hooker - Two Bugs And A Roach

Two Bugs & A Roach  個性的なブルースギタリストは数多いが、中でもかなりの異彩を放ったプレイヤーとして思い出されるのがアール・フッカー。時代的には些か新しくなるものの、ブルースメンのくせにSGのダブルネックをメインギターとした変わり者。そう、あのジミー・ペイジが使用しているあのギターだ。もちろんアール・フッカーの方が使用は早いので、まあ、もちろんジミー・ペイジとしてもヒントにはなっているだろう。それはアール・フッカーの奏でるサウンドからも影響を及ぼされているようで、そこかしこで酷似したフレーズが聴かれるのも面白い。

 アール・フッカーはシカゴブルースプレイヤーとして活動したが40歳という年齢で亡くなっており惜しまれる人だが、1930年生まれでシーンに出てきたのは1952年頃らしく、自分が好きで聴いている作品「Two Bugs And A Roach」はどうやら1966年から68年頃のもので、冒頭のタイトル曲からしてえらくファンキーなロックでかっちょいいのだ。ノリノリのMCというのか掛け合いがそのまま収録されていて、スティーヴィー・レイ・ヴォーンが好んで使用したズッ、チャーチャララララッというファンキーなリズムギターをメインとした楽曲が始まり、そのフレージングにおののく。ちなみに聴いているとギターそのもので音を変化させている様子がまざまざと聴いて取れて、例えばピックアップ切り替えのスイッチの音や、もちろんその後のギターの音色の変化もありありと聴けたり、多分その合間にトーンをいじって、またスイッチングでガラッと変わったサウンドを出したりと面白い。12弦を使用するシーンはなさそうだけど、そういうギターの使い方はかなり独特で研究しているなぁってのがよくわかる。ワウペダルで全編を通して弾きまくる「Wah Wah Blues」なんてのもホンモノのブルースメンがこういうのをやると凄く味が出るんだよね。

 他にもワウペダルでアクセント的にソロを弾いているのがあるんだけど、ギターの音がほとんど生音に近いサウンドにワウペダルだから面白い効果を出していて、そういう意味でも革新的な人かな。「Anna Lee」で聴けるギターのトーン…フロントピックアップでトーンを絞ってエコーを思い切り掛けたサウンドでイントロが始まるんだけど、これなんて最初だけ聴いたらツェッペリンの「You Shook Me」のイントロとの違いはわからんぜよ(笑)。ま、あちこちでこの人のこういうイントロは聴けるので得意フレーズだったんだと思う。こういう美味しいところをしっかりとパクれるペイジのセンスはやっぱり凄い(笑)。ちなみにスライドギターも絶品だったりするので、その筋からは一目置かれていたみたい。う〜ん、実にロック的ブルースメンだ。

 CDではあまりリリースされていないみたいで似たようなベスト盤が多いんだけど、1960年代前半の作品を寄せ集めたベスト盤やらジャケが脳天気なベスト盤なんかで一度耳にしてみるとロックへの影響力の大きさがよ〜〜くわかると思うんだよね。

Magic Slim - Grand Slam

Grand Slam  ブルースメンにあだ名が多いことは名前を見ているだけでもわかることだが、そのあだ名がこれまたいい加減な理由で付けられていることが多くて混乱を招くこともいくつか…。まぁ、有名なのはサニー・ボーイ・ウィリアムスンの一世と二世とか、マディ・ウォーターズだってやんちゃな泥水遊びからだし、ゲイトマウス・ブラウンだって大口野郎って意味だし、みんな適当なあだ名なんだよね。誰でもあだ名なんてのはそういうモンなんだろうけど。それで随分昔にブルースメンでマジック・サムって名前を聞いていて、探していた時期があった。んで、いつしか見つけた〜と思って入手したらそれが実はマジック・スリムだったということで、「あれ?」って思いながらも結構良いブルースメン見つけちゃった〜、みたいな(笑)。

 1982年発表の「Grand Slam」が一番の名盤と呼ばれていて、確かにこのアルバムから自分も入っているからお薦めできるタイトルかな。割と質素でオーソドックスなパターンのブルース、いわゆる王道ブルースばかりが収められた作品で、ギターにしてもそういうブルース的な音でしっかり入ってくるし展開もそのまま、歌もかったるい感じのブルースそのままで、裏切られるところが全くない教科書みたいな作品。それで個性がないかと言うとそうではなくてしっかりとマジック・スリムっつうスタンスが出ている。ロックファンにもお馴染みの「Walking The Dog」なんてそのままアレンジなしで演奏されているから普通っちゃぁ普通なんだけどやっぱ黒人がやるとかっこいいんだなぁと素直に思ってしまう。ギターにしても線が細くて…そりゃまぁジャズマスターなんつう特異なギター使ってるからだろうけど、グイグイと太い音じゃなくてナヨナヨした感じの音色に太い指で弾いているっつう音でさ、割と面白い。次の「Slammin'」なんて曲もほとんどファンク調のリズムにロングトーンのギターソロが被ってくるっつう面白い試みで、ユニークな人ではあるなぁ。ただ、圧倒的に好きか、って言われるとちょっと困る部分はあるかな(笑)。

 この人も出だしが遅くて80年代以降にメジャーになってきた人なんだけどもちろんそれなりの年齢。大柄な黒人でかっちょよく弾く人。この「Grand Slam」っつうアルバムはもともと違うジャケットでリリースされていたみたいだけどいつしかこのベーブルースジャケットになってしまったらしい。まぁ、いいけど、あまり意味ないよなぁと。ブルースのジャケットってさ、やっぱ本人がデカデカと出ているのが良いじゃん。

Robert Cray - Strong Persuader

Strong Persuader  そういえばロバート・クレイってレイ・ヴォーンの後に売れたんだよな、とふと思い出した。いつだったっけなぁ、多分1988年か89年に来日していて、売れたのは1986年か87年くらいなので、まぁ、まだ人気があったくらいの頃だね。んで、すっかり忘れてたけれど、その来日公演を見に行ったんだよ。

 …とは言っても知ってる曲なんてそんなになくって、まだブルースに色々な種類があるなんてのは知らない頃だったからブルースメンのライブを見てみたいってことで行ったんだと思う。そしたらまぁ、別に悪いことはなくって妙〜にファンキーなブルースなんだなぁとか思ってたくらいで、一生懸命ギターフレーズとかスケールとか見ていてね…あぁ、あとは音。ギターの音色がカラッとしたモロにストラトサウンドなんだけど、いいなぁ〜なんて聴いてた。だから曲って言うよりもギターを見に行った、聴きに行ったっていう方が強い。都合一時間半くらいのライブだったと思うけど、もちろん終盤にヒット曲「Smokin'」で盛り上がったんだけど、それよりもその後にやた「Spoonful」に狂喜したかなぁ。順番は定かでないけど、「Spoonful」だぁ〜って(笑)。いや、まぁ、当然のチョイスなんだけどさ、ブルースメンがやるホンモノってどんだけぇ〜って感じで興味津々だったね。まぁアドリブが少なくて、あと顔でギター弾いているって感じが少なかったのが心残りではあったけど、やっぱ良い音だ〜って感動した記憶がある。

 そんなロバート・クレイの思い出だけど当時売れた「Strong Persuader」というアルバム。かなりモダンなサウンドだったので今となってはレトロか?ただポップでキャッチーな曲でブルースメンからもリスペクトされていたってのはなかなかいないので、やっぱり相当ホンモノの人なんだと思う。奇しくもレイ・ヴォーンが飛行機事故で死んだ時だって、レイ・ヴォーンとロバート・クレイとクラプトンでツアーしていた時の出来事だしね。まぁ、人気者ブルースメン達が今を楽しむって感じだったのかな。悪いアルバムじゃないけど、今聴き直すとジャズの世界で言うマンハッタン・トランスファーみたいな位置付けで、ブルース好きからするとちょっとポップ過ぎるかな。

 ちょっと前にブルース映画「ライトニング・イン・ア・ボトル」で出てたのを見たんだけどなかなか貫禄のついたブルースメンになってた。だから今ならかなり素直に楽しめるのかもしれないけどね。まぁ、音はそうそう変わらないけど(笑)。